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令和年度北海道大学新任技術職員研修を開催

令和6年4月2日以降令和7年4月1日までに本学に採用となった技術職員向けの研修が、令和7年4月17日(木)から18日(金)にかけて行われました。

本研修は、技術職員として必要な基礎的知識を習得し、かつ、大学内で多種多様な業務を行っている技術職員の職場を訪問し、その業務内容や業務の一部を体験することにより、他部局の業務について知見を深め、本学採用直後から部局を超えた人間関係をつくることを目的として行われています。

1日目は、永井謙芝技術支援本部統括技術長から「技術職員組織について」と題しての講義、続いて大久保賢二工学研究院工学系技術センター技術部長から工学系技術センター技術部の紹介を受けた後、工学研究院で職場訪問と実習を行いました。

永井統括技術長からは、技術職員組織の歴史と受講者への期待が語られました

 

職場訪問ではVRシアターを訪れ、鉱山開発における教育などに用いられる360°投影映像や3Dモデルを体験しました。同所で技術支援を担当している大塚尚広技術専門職員からは、これらのコンテンツが資源工学のみならず、土木や防災などさまざまな分野で活用されていることが紹介されました。

大塚技術専門職員(左)とVRシアターを体験する受講者

 

電子顕微鏡実習では、各種の電子顕微鏡が常設されている超高圧電子顕微鏡室で、地下から地上2階までにおよぶ巨大なマルチビーム超高圧電子顕微鏡を見学しました。横平綾子技術専門職員の指導のもと、透過型電子顕微鏡(TEM)を実際に操作して金属ナノ粒子やシリコンウエハを観察しました。

透過型電子顕微鏡(TEM)による観察実習の様子

 

続いて行われたガラス工作実習では、石倉研太郎技術職員の指導のもと、ガラス加工とマドラー制作を行いました。受講者はガラスを飴のように巧みに加工する様子に目を見張りながら、ガラス工作を楽しく学びました。

ガラス管の加工を行う受講者

 

2日目は薬学研究院、理学研究院、北方生物圏フィールド科学センターの職場訪問を行いました。
薬学研究院では、乙黒聡子技術専門職員と森綾子技術専門職員の案内のもと、薬学部附属薬用植物園、創薬科学研究教育センター、臨床薬学教育研究センターを見学しました。臨床薬学教育研究センターに設置され、普段学生が実習を行っているという模擬薬局では、フィジカルアセスメントの体験や漢方薬のテイスティングを楽しみました。

薬研で漢方薬を粉末にする受講者

 

理学研究院では、松本亜希子技術専門職員から理学研究院等技術部の紹介を受けた後、附属地震火山研究観測センターに移動して、一柳昌義技術専門員をはじめ観測技術部の方々から、独自に開発している観測装置の仕組みや設置場所、観測データの処理や伝送の方法などについて解説を受けました。継続的な観測データの収集に技術職員が大きく寄与していることを実感しました。

地震観測点について説明する一柳技術専門員(右)

 

続いて訪れた薄片技術室では、野村秀彦技術専門職員と中村晃輔技術専門職員から岩石試料、生物試料、金属試料などを薄く研磨する技術について説明を受けました。講師の二人からは、加工技術を磨くことが依頼者からの多様な要求に応えることや新たな技術開発につながる、技術職員の業務の奥深さと面白さが語られました。

研磨の実演を行う野村技術専門職員(中央)

 

理学研究院で最後に訪れた極低温液化センターでは、小畑滋郎技術専門職員から同センターで行われているヘリウムのリサイクルについて説明を受けました。実験等で使われているヘリウムは、学内の地下の配管を通して回収されリサイクルを行うことで、効率的に利用されているとのこと。貴重なヘリウムの供給安定化とコストダウンに貢献する非常な重要な施設であることを知りました。

液体ヘリウムの用途について説明する小畑技術専門職員(中央)

 

職場訪問の最後はスマート農業研究教育センターを訪れました。北方生物圏フィールド科学センターの佐藤浩幸特命職から、同センターで行われているスマート農業実現に向けた取り組みについて説明を受けました。建物には試作機を含めた多くの農作業機械が格納されており、講師自身の技術支援の経験談を交えた説明から、試行錯誤を重ねながら研究開発が進められてきたことがわかりました。

自動運転トラクターの試作機について説明する佐藤特命職(中央)

 

日程が進むにつれて受講者の同士の絆も深まり、終始和やかな雰囲気で行われた今回の研修。様々な部局の技術職員の業務に触れ、技術職員としての視野と可能性が大きく広がった充実の2日間となりました。

研修期間

令和7年4月17日(木)~4月18日(金)

主催

北海道大学技術支援本部運営調整会議スタッフ・ディベロップメント実施専門部会

受講対象者

令和6年4月2日から令和7年4月1日までに本学に採用となった技術職員7名